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火星 【11月12日撮影】

火星 【11月12日撮影】
11月12日 23時の火星
さて、現在地球に接近している火星ですが、いよいよ火星面で最も濃い模様「大シルチス」が見頃になってきました。4~5日前までは宵の火星高度の低い時にしか「大シルチス」が見えなかったので、シンチレーション(大気の揺らぎ)の影響を受けやすく、クオリティの高い火星画像は撮れませんでしたが、今夜は火星南中の頃に大シルチスの見える火星面を撮影できました。今後数日間は、火星南中と大シルチスの見頃が重なるので、絶好の「撮りどき」です。


イメージ 1
撮影日時 : 2005年11月12日 22時59分~23時06分
撮影地 : 熊本県熊本市
カメラ : ソニー DCR-HC90
望遠鏡鏡筒 : ビクセン R200SS (口径200mm 焦点距離800mm, F4)
アイピース : ビクセン LV5mm (ズーミングはDVカメラによる)
撮影方法 : コリメート

※RegiStax Ver.3にてビデオ映像722 フレームをスタック合成&ウェーブレット変換、トーンカーブ調整
(詳細データは画像中に記載)
Photoshop-E.にて画像処理:適当な縦横比補正、トリミング、レベル調整、ガウスぼかし等

南中高度70°でくっきり火星面

今年の火星はおひつじ座にいるおかげで、南中高度は70°。一昨年の火星接近時には南中高度の低さに泣かされた日本(オーストラリアの火星に恋い焦がれたり遠征撮影にまで行く人続出)。でも、今年は地球の北半球で火星が高くなる年ですよー。
せっかく南中高度が高いのに反射鏡R200SSの光軸のズレを修正することなく火星を撮り続けている24歳です。

さて、今夜撮影した火星は南中目前の高い地平高度での撮影なので、シンチレーションが小さく、動画の1コマ1コマがシャープな火星像を結んでくれました。毎回言っていますが、今回も追尾なし(ノーガイド)撮影ですので、火星が日周運動で写野を横切るDV映像を15セット撮影し、動画編集ソフト「Adobe Premiere」のモーション設定にて日周運動による動きをキャンセルしておきました。こうすることで、アライメント時の「火星の取り逃し」を防止することができるからです。追尾撮影できる環境ならばこんな煩わしい処理を踏まずに済むのですが…。


火星の色や濃淡は作者の個性

通常、火星の模様はかなり淡いので、画像処理しないままの火星は味気なく感じます。そこで、大抵過度な画像処理によって火星面の表面模様を強調します。

今回は、火星の画像処理を控えめバージョン、適度バージョン、過度バージョンの3種類用意しました。それぞれ、トーンカーブによるコントラスト調整や、ウェーブレット変換の強さなどを変えて処理したものです。



控えめバージョン
イメージ 2



適度バージョン
イメージ 3



極端バージョン
イメージ 4




どうでしょう? 画像処理次第で火星の表情が違って見えますね。このように撮影者個人の好みにより完成する火星画像には個性が出てきます。2003年に天文誌等情報媒体において解説された火星撮影&画像処理術にインスパイヤされて習得され、今回の火星接近にあたって新たな機材を加えて撮影した火星画像コレクション。今月いっぱい、火星撮影に勤しみたいものです。

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大シュルティスと読んだあなたは天画教徒。p2k5

開始日: 2005/2/9(水)