部分月食の本影【10月17日撮影】
部分月食の本影【10月17日撮影】
露出値を変えて比較する |
こちらは最も「見た目に近い」部分月食のイメージです。食されていない月面が適正露出となり、地球の本影がかかっている部分は完全に黒つぶれして見えなくなっています。
しかし、本影がかかっている部分は、実際には完全に真っ暗ではなく微かに見えているのです。そこで、もう少し露出値を上げてみると以下のように写ります。
露出を長くすることで、本影がかかっている部分は黒つぶれせず、薄暗くうっすらと見えてきました。その代わり、本影がかかっていない部分は真っ白に白飛びしてしまい、月の海も見えなくなりました。ただ、本影に向かって「半影」のグラデーションでわずかに月面の輝きが鈍っており、本影にごく近い部分だけ月の海が局所的に写っています。
この画像では、地球の本影の輪郭がはっきりと浮かび上がり、地球が丸いこと、そして月よりずっと地球が大きい様子がよく判ります。
この画像では思い切って露出を長くして本影部分をはっきり浮かび上がらせました。そのため、影のかかっていない部分は真っ白に白飛びし、月の周囲も強烈な月光にインスパイヤされて明るくなっています。また、本影の境界もシャープに写りました。本影のエッジ(境界線)を図形的に描出する教育的なアプローチと考えて良いでしょう。
さて、こちらはコンパクトデジカメのコリメート撮影による、本影部分のクローズアップです。今回の部分月食は食分が小さかったので本影部分もごく僅かですが、暗さや色に注目すべく強拡大してみました。
通常、地球の影がかかっている月面は皆既月食のような「赤銅色」になるはずなのですが、今回はご覧の通り赤っぽくありません。色味がなく純粋なグレーに写っています。また、以前見た月食と比べても今回は影が暗いような気がします。月食の本影の暗さは、地球で大規模な火山活動などがあると地球大気中に塵が舞い上がり月食の本影も暗くなる傾向にあるらしいですが、果たして今回は何か火山活動などが影響していたのでしょうか。正直なところ、この程度の小規模な部分月食では本影が通常より暗いかどうかは断言できません。ただ、本影の色が赤っぽくないのが気になりました。幻想的な「赤銅色の満月」になる皆既月食を楽しみに待つとしましょう。