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土星【3月12日撮影】

土星【3月12日撮影】
さて、本日は当地でも気温が20℃を越え、日に日に春の訪れを実感できるようになって来ました。宵空にはオリオン座が輝き、ちょうどシリウスが南中を迎えようとしています。

そして、南東の空には上を向いたしし座が空高く昇りつつありました。

今年の土星は、そんなしし座の前足付近で輝いています。1等星レグルスと並んで輝いているので、2つ並んだ星の並びですぐに判ります。


土星のコリメート撮影

2008年3月12日宵の土星
イメージ 1
撮影日時 : 2008年3月12日 20時55分頃
撮影地 : 熊本県熊本市 / カメラ : ソニー DCR-HC90
望遠鏡 : ビクセンR200SS (口径200mm) / アイピース : ビクセンLV5mm / 赤道儀 : ビクセンSXD
撮影方法 : コリメート撮影
露出時間 : 約1/2秒×93~400フレーム (画像中に表記)
Adobe Premiere、RegiStax3.0、ステライメージ5にてコンポジット、画像処理、トリミング


カッシーニの空隙までわかるるる~

さて、画像はデジタルビデオカメラを望遠鏡の接眼部を覗かせるように取り付けて撮影し、得られた数百フレームを合体させて画質の良い1枚の静止画に仕上げた今夜の土星です。今シーズン初の土星、私にとってはSXD赤道儀で自動追尾しながら撮影した初の惑星作品です。暖かいおかげで等圧線の間隔が緩く、シーイングは良好。その分透明度はやや劣っていましたが、1等星しか見えない街中からでも、こんなにはっきり土星が見える(写る)というのを判っていただければ、と思います。

土星の環に、細い溝が走っているのがなんとなく見えると思います。実は処理過程で本体・環ともに微かな縁取り模様が発生していたので自信はもてませんが、これこそが土星環に存在する隙間、カッシーニの空隙かと思われます。環も大分水平に近づいてきたので、この角度からカッシーニの空隙を捉えられたことはまさに念願達成でした。



画像処理テク

今回の土星写真は、当ブログの今までの土星画像より格段に解像度が上がりました。その理由は、以前の作品は地球の回転に合わせて望遠鏡を動かす「自動追尾」をしていなかったためです。これまでは手動で調整しながらの撮影だったので、シャッタースピード値や拡大率などの制約があり、土星は小さくしか写らなかったのです。それに対して今回からは自動追尾しているので土星はずっと静止していてくれます。そのおかげでビデオカメラ側のズーム率をうんと上げることが可能となりました。

ズーム率を上げると土星像は暗くなるため、ビデオカメラ側の所謂ナイトモード(スローシャッターモード)に設定して撮影しました。そのため、1コマ1コマの露出時間は1/2秒ほどとなり、フレームレート数も2fpsとなりました。この状態で画面いっぱいに拡大した土星の動画を約10分間ほど撮影し、ビデオ編集ソフト側で15倍速の動画にすることで、従来通りの30fpsで長さも20秒ほどとなりました。引き続き、RegiStaxなどのスタッキングツールでアライメント&スタック、トーンカーブ調整などを経て、1枚の土星写真作品に仕上がった、というわけです。



土星の衛星

タイタン?
イメージ 2

こちらは、「ステライメージ5」にて上の画像を処理している最中の画面です。合成方法を「加算」とし、数百フレーム分の明るさを持った画像のレベル調整をしていると、土星のすぐ傍に光点が見えてきました。これは紛れもなく土星の衛星ですが、最大の衛星「タイタン」はもう少し離れたところにあったような気がするので、さらに暗い他の衛星かもしれません。よく判りませんがコリメート撮影で思わぬ副産物に出会えてラッキーでした。
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開始日: 2005/2/9(水)