プレセペ星団食【3月17日撮影】
プレセペ星団食【3月17日撮影】
さて、3月17日の23時頃、かに座の甲羅部分にある散開星団「M44・プレセペ」が、月齢9.9の月に隠される「プレセペ食」が見られました。プレセペ星団は空の暗い場所だと肉眼でも見ることのできるかに座の星団で、たくさんの恒星が集まって見える領域です。ちょうどこの星団は月や惑星の通り道にもなっていて、しばしば月や惑星に隠されます。それが「星団食」という現象です。望遠鏡で覗くと、月と星々が寄り添って見え、大変賑やかな光景を楽しめました。
(1枚目のトリミング・レベル調整)
撮影&画像処理テク
今回の現象では、星団を隠す月がおよそ月齢10、半月~満月の中間ぐらいの眩しい月によるものでした。そのため、望遠鏡にデジタル一眼レフカメラを取り付けた「直焦点撮影」の写真では、眩しい月の光芒にかき消されて、プレセペ星団の星々はそう簡単には写ってくれません。そこで、月の輪郭を残しつつも星団の星々がはっきり写る、という絶妙な露出値を探ります。すると(ISOは最低の200の設定で)1/2秒露出が両方の条件を満たしてくれました。さらに、撮影後の画像処理で星団の星々の光を強調するフィルター「スターエンハンス」処理を行い、露出アンダー気味な恒星像を肥大化させて、月と星とのバランスを整えました。なお、S/Nを上げるために10枚ほど連写していたのですが、時間がなく面倒なので暫定的に単一画像から仕上げました。
この画像では、冒頭の画像のような白飛びを起こさぬよう、月を適正値で撮影しました。露出は1/160秒と短いため、星団の星は全く写っていません。なので単なる月の写真として見て下さい。地球から見る月はいつ撮っても変化がないのでつまらないですが、今回は美しく撮影できました。
単一画像による高精細月面撮影の企業秘密的テクニック。10コマ連写&コンポジット合成でとことんS/Nに拘っています。1/160秒という短い露出で、しかもシンチレーションの影響も比較的少ない月全体撮影でもコンポジット&ウェーブレット変換すると1ショットより明らかにきれいです。家具屋も今頃…
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