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木星と四大衛星【直焦】

木星と四大衛星【直焦】

イメージ 1

イメージ 2

1枚目:木星と四大衛星
オリジナル撮影日時 : 2005:04:20 20:26
撮影地 : 熊本県熊本市
撮影方法 : 直焦撮影
望遠鏡 : Vixen R200SS (口径200mm 焦点距離800mm)
カメラ : NIKON D70

※その他撮影情報は画像中に明記

2枚目:木星と四大衛星(ノーガイド13秒露出)
オリジナル撮影日時 : 2005:04:20 20:24
撮影地 : 熊本県熊本市
撮影方法 : 直焦撮影
望遠鏡 : Vixen R200SS (口径200mm 焦点距離800mm)
カメラ : NIKON D70

※その他撮影情報は画像中に明記

9億㌔彼方の「木星一家」

さて、昨日の記事ではコリメート法で撮った木星(本体)の画像をご紹介いたしましたが、本日は直焦で撮った木星の画像をご紹介しましょう。1枚目の画像は露出1秒、2枚目の画像は露出約12秒で撮った画像です。

なぜ2枚目の画像で木星と衛星たちが線を引いているのかというと、それは地球が回っているからです(すなわちノーガイドだからです)。地球の回転に合わせて望遠鏡を動かす機械「赤道儀」が故障中の為、木星が見かけ上動いてしまい線を引いて写るのです。日周運動で線を引いた木星系というのもなかなか面白いので、あえて掲載しました。いずれの画像においても、木星の本体は白飛びして真っ白に写っていますが、木星の丸い形(エッジ)は判ります。



木星の周りを回る四大衛星

木星の両側で一直線に並んでいる4個の点は、木星の衛星(通称ガリレオ衛星)です。地球には「月」という衛星がありますよね。木星の場合、なんと30個近い衛星を従えています。そんな木星の世界で見上げる空はさぞかし「空じゅう月だらけ」…と思いきや、実はそうではありません。地球から見る月とは違い、木星の衛星はとても小さいものばかりなので、木星から見たとしても点にしか見えないと思われます。四大衛星の一番内側を回る太陽系最大の衛星「イオ」でさえ、地球の月と同じぐらいです。そんな木星の世界を想像しながら見ると面白いでしょう。

四大衛星は、木星を中心にしてそれぞれ特有の周期で回っています。衛星の名前は内側からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストです。地球からは木星系の軌道を真横から眺める形になるので、衛星たちは円を描くようには回らず、直線の軌道上を行ったり来たりするように見えます。もちろん、木星の前を通過したり、木星の後ろに隠されたりして、木星の世界は望遠鏡で見ていると色々と面白い「かくれんぼ」現象を見ることができます。専門用語で言うと「衛星相互食」とか「掩蔽」などの現象です。いずれの場合も日食・月食と同じように食の予報が出されますので、望遠鏡で木星界の天体ショーを楽しむことができます(但し、衛星相互食には6年ごとに見られる周期性があり、前回は2003~2004年にかけてたくさん見られましたが、私は1つも観測できませんでしたorz)



苦労点

今回の画像の撮影において苦労した点は、ピント合わせです。D70ボディを望遠鏡接眼部に繋げての直焦撮影なので、ピント合わせは望遠鏡側で行います。ドローチューブの繰り出し・押し込みによりピントを追い詰める際、D70のファインダーを覗きながらピント合わせをしても、まず正確には合いません。そこから先はテスト撮影を繰り返して微調整しました。再生モードにして星(ガリレオ衛星)の像が一番小さくなるようにピントを追い込みます。そのために、ボタン操作で拡大率を最大にせねばならないのですが、そのボタン操作のためにカメラボディが揺り動き、せっかく合わせたピントがズレやすいのです。そんなわけで、直焦撮影時のピント合わせはなかなか神経を使います。最新の一眼レフデジカメに搭載されている「スルー画表示」のある機種ならばテスト撮影も不要でピント合わせできるので、D70を使っているとコンプレックスを感じます。

さらに、2枚目の画像では初めての「鏡筒開閉式露出」を行ったのも工夫です。というのも、一眼レフデジカメの場合、ミラーアップ振動がありますので、リモコンでシャッターを切ってもブレる可能性があります。そのため、R200SS鏡筒の黒いフタで鏡筒先端を(接触させずに)覆った状態で露出開始し、直後にフタを外して光が入るようにしました。シャッターを閉じるときも黒フタで覆ってから切りましたが、それは行う必要は無いようです(閉じる際の振動は露出終了後に発生するでしょうから)。なお、1枚目の画像では鏡筒開閉は行っておりません。ミラーアップブレの影響は星像に現れているでしょうか? ガリレオ衛星を見ると点状にはならずやや斜め方向に伸びていますが、これは日周運動の影響でしょう。


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星雲星団を撮るのは未だ叶わぬ夢のままp2k5

開始日: 2005/2/9(水)