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【コリメート】火星 【10月1日撮影】

【コリメート】火星 【10月1日撮影】

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1枚目:火星 (423flames, R200SS+HC90)
2枚目:火星 (356flames, R200SS+HC90)
3枚目:火星 (186flames, R200SS+HC90)

共通データ:
撮影日時 : 2005年10月1日 00時45-46分
撮影地 : 熊本県熊本市
カメラ : ソニー DCR-HC90
望遠鏡鏡筒 : ビクセン R200SS (口径200mm 焦点距離800mm, F4)
アイピース : ビクセン LV5mm (ズーミングはDVカメラによる)
撮影方法 : 手持ちコリメート

※RegiStax2.0.にてビデオ映像複数フレームをスタック合成&ウェーブレット変換処理
(詳細データは画像中に記載)
Photoshop-E.にて画像処理:写野回転&トリミング、レベル調整、ガウスぼかし、アンシャープマスク

4枚目:RegiStaxアライメント処理中の画面


2005年の火星撮影、本格始動

さて、いよいよ火星最接近まで残り1ヵ月を切り、望遠鏡で見る火星も日に日に大きくなってきましたね。今まで忙しくて夜に暇が取れなかったことから、今回ご紹介する画像が、今年初めての火星撮影となりました。

15年に1度の大接近となった前回の火星画像(2003年8月撮影)は私のサイト内に掲載中です。火星の全周(全経度)の表面模様をご覧頂けますので宜しければ見てください。

 プレ天文 - 2003年火星大接近
 http://www.f3.dion.ne.jp/~p2k/mars2003.htm


定着した惑星動画撮影というスタイル

さて、撮影データをご覧になってもお分かりのように、今回の画像はソニーのDVカメラで撮影した動画によるものです。なぜ静止画を作るのに態々動画で撮るのかというと、スタッキング処理を行うためです。撮影データにも記載していますが、今回の火星画像はいずれも数百枚のフレームを合成(合体)させてS/N比を上げています。

1枚のみ撮っただけではノイズが多く、また、地球大気の揺らぎの影響を受けて火星が多少歪んでしまうのです。デリケートな火星の表面模様を描出するためには、数百枚、数千枚という画像を重ね合わせて加算平均し、階調を滑らかにする処理を行います。私は、これら一連の処理過程を「RegiStax」というフリーソフトで行っています。最新バージョンはVer.4が出ているようですが、私は2003年からのVer.2をそのまま使っていますので、近々最新版を入手しようかと思います。今ではステライメージもaviなどの動画からのスタック処理に対応しているようなので、惑星動画撮影というスタイルはすっかり定番になったといえるでしょう。


今回の3画像は同一AVIファイルによるものです

今回の火星3画像は、全て10月1日 00時45-46分に撮影した1分弱のDV動画によるものです。つまり、ほとんど同じ画像です。では、違いは何かというと、データを見てお分かりのように、スタック(重ね合わせ)したフレーム数の違いです。RegiStaxでは数千フレームにも及ぶフレームの中から良質なフレームだけを自動で選別するカットアウトフィルターが装備されていますので、Difference(差異)フィルターとQuality(画質)フィルターそれぞれの条件を変えてスタックす対象となる画像の質を3パターン変えてみたのです。その結果、同じAVIによるものとはいえ微妙に特性の違う3画像ができました。どうでしょう? 何か違いが判るでしょうか。1枚目(423フレーム)はDifferenceフィルターをきつく、Qualityフィルターをほぼ前回にして合成、3枚目は逆にDifferenceフィルターを甘く、Qualityフィルターをきつくして選別した186フレームです。

こうして見比べるとやはり、フィルターの設定違いによる影響は解像度には現れておらず、寧ろ単にスタック枚数が多いほどS/N比が向上し、解像度も向上しているように思えます(つまり最多フレーム数の1枚目が最も良好)。


手持ちコリメートという悪条件

昨日の記事でも触れた通り、私は赤道儀の故障によりガイドなしで撮影を続けています。ですので、今回の火星画像も日周運動でアイピース視野内を火星が移動するにつれて周辺視野で像が湾曲している可能性があります。つまり、解像度が低下しているかもしれません。さらに、DVカメラDCR-HC90のカメラアダプターを持っていないため、手持ちコリメートで撮影しました。つまり、日周運動で火星が動くのに加えて情けない手ブレも影響して、像が多少ブレていると思われます。そのように撮影悪条件が重なっているためか、今回の画像もあまり表面模様がはっきりしませんね。上記URLの2003年の火星画像のほうが同じ経度0度でもはっきりと子午線湾が写っているのは、当時はガイド撮影していたし使用カメラ「COOLPIX995」をアダプター接続したことにより手ブレの影響がないなどの優勢点が挙げられます。今回の画像では子午線湾の存在もほとんど判りません。


火星中央経度0度付近

というわけで、今回の火星面は火星くるくるで調べたところ359.8度付近でした。つまり、ほとんど0度。子午線湾が見えているはずですが、この画像では判りません。ですが、黒い表面模様の存在は判ります。驚いたのは、北極冠が写ったことです。2003年の火星は最接近1ヵ月前まで立派な白い南極冠を撮影できたのですが、今年の火星では北極が見えているのが感慨深いです(画像の火星右上付近に白く見えているのが北極冠=氷です)。この2年の間に、火星は北極方向を地球に向けるようになったのですね。ですが、この北極冠も火星北半球の夏の到来と共にいずれ溶けてしまうものと思われます(注:これから夏になるのは南半球だったかもしれません)。

そんなわけで、今シーズン初の火星では中央経度0度付近との対面となりましたが、今年入手したDVカメラで大シルチスをはっきり撮るのを楽しみにしています。

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TO U Cam Proは入手しやすくなりましたか?p2k5

開始日: 2005/2/9(水)